創業65年目の座談会

顧客のニーズをつかみ開発を

“時代の要求”より早すぎて売れなかったが、それが現在につながっている

大久保 孝一
司会・大久保 孝一

まあ、山高ければ谷深し──ということで景気の変動にもまれた訳ですね。
そこで開発にまつわる裏話はありませんか?

中島 英雄
中島 英雄

開発のタイミングにめぐまれるということで運がよかったし、熱心に取り組んでくれるような従業員によい人がいたんですよ。

大久保 孝一
司会・大久保 孝一

豚の分野に入るのは、どんな契機からでしたか?

中島 英雄
中島 英雄

その後の畜産業を見通すにつけ、鶏だけでなく、豚、牛の部門を持たなければと考えているなかで、オリオンの太田社長と竹内常務、岸田工場長と懇意になり、また日本養豚ケージの久保田社長とも知りあう機会があって、豚の分野に進むことができましたね。

中嶋 君忠
中嶋 君忠

41年頃、日本養豚ケージのお世話で茨城の油文商店の養豚場や仙台の富谷養豚場に付けたのが初めで、現在の種豚用計量制限給餌器と同じ物だったが、当時は養豚場の経営者と管理人とに考え方のズレがあって成功しなかった。“時代の要求”より早過ぎて売れなかったが、それが現在の養豚部門の充実につながった訳です。
当時はエッグ・サイクルとピッグ・サイクルが反対の動きだったので、豚の部門を充実させれば経営が安定するという狙いもあった訳です。

中島 英雄
中島 英雄

さっきの開発の苦労話といえば──、パンフィーダーの第1号機のテスト販売で忘れられないのが経済連の種鶏場長の清水先生ですね。当時はまだ国産の機械の信頼度が低く、米国製品が主に使用されている中で、パンフィーダーの1号機3台を採用してくださったことです。

大久保 孝一
司会・大久保 孝一

それで昭和48、9年頃ですか、豚の関係で、公害防止云々によって発酵ロータリーを造ったのは。それは4年ぐらいのブームでしたか。

中嶋 君忠
中嶋 君忠

そう、4、5年でしょう。

大久保 孝一
司会・大久保 孝一

その頃ですね、公害防止関連機器の開発がすすんだのは。

甲田 和久
甲田 和久

当時、ウチは小諸で発表会を行なったんですが、当時“発酵”に対して農家のレベルでは“堆肥”であって、機械化して豚鶏糞などを発酵させるのは、どこにもなかったですね。全国の関係者も相当興味をもって、4、5年経つうちに大手の公害防止機器メーカーもどんどん手を出して、100社を超えたものですよ。
それにメンテナンスが大変だったもので、どうしても私たちは機械屋ですから、機械だけということならともかく、メンテナンスが機械の分野からほどどおい形のものになってきたので、手を引かざるを得なかった。“発酵”を機械の分野に結びつけたのは我が社が最初だったことは確かですね。

中嶋 君忠
中嶋 君忠

毎日見学者の接待で上山田温泉へ行って、身体がもつか心配だった。

中島 英雄
中島 英雄

出先の人たちの苦労が思いやられましたね。本社の不充分のところを補って、一生懸命やっている訳ですから、そこのところを特筆してやって欲しいね。

中嶋 君忠
中嶋 君忠

工場で製造しても、現場へ持っていくと、なかなか合わないところも出てきて、苦労もあるわけで、最終の担当者は苦労ばかりで、いい思いの少ないところで。次から次へと新製品を開発するにしても、お客さんもよく試験に協力してくれて、全く有難いことですよ。

甲田 和久
甲田 和久

展示会なんかやりますと、関係者の中でよく出てくる言葉は、“中嶋さんなら、やり切るでしょう”なんですよ。それは、業界の中での位置付けが別格のような感じを持ったわけです。我々がやってきた過去の歴史というか歩みをよく見られていると思うのです。そうですからなおさら営業サイドとして、色々な意味でプレッシャーも感ずるのです。
将来を占う新製品を開発するにしても、業界の動向とか客のニーズとか、販売や業務の人々が肌で感じているもの、それらを大切にしなければいけないと。第六感というものも大切なので、決して軽視しないで努めることですね。

坂口 和門
坂口 和門

やはり当社が将来大きくなっていくには、新製品の開発には力を入れるべきですね。それには、お客さんのニーズと、社内のこれまで蓄積したシーズ(種)をマッチングさせることが大切だと考えます。 

山岸 明
山岸 明

そうですね。お客さんの狙っている製品がなんであるかということを見きわめ、それにむかって持てる力を十二分に発揮して対応することだと思います。 

山岸 良男
山岸 良男

まずは産業人間に徹すること、そういう気持ちをもって…。 

大久保 孝一
司会・大久保 孝一

ロボット溶接機の導入も考えられますか? 

山岸 良男
山岸 良男

まだ少し早いと思います。 

座談会テーマ「時代を先取りする精神を」へ
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